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中世ヨーロッパの宮殿とアフリカのサバンナを舞台に、幻想の世界の中で繰り広げられていく、イラストレーターユウコの愛と冒険の物語。
私は夢を追い求めるファンシーな女の子。
 一般のサラリーマンや普通のOLのしているお堅い仕事は辞めてしまって、出版社の契約社員として気ままに編集者兼イラストレーターの仕事をしている。仕事は面白いし充実している。
 けれども何か物足りないような、何かが欠けているような歯がゆい気分にさいなまれている。それは会社がどうとか、人間関係がどうとかという問題ではなくて、私自身の内面的な問題なのだ。
イラストレーターとして、成功すればそれはそれでいいと思う。自分の実力が認められて、お金をいっぱい稼ぎ、有名になれればそれは結構な事だ。優雅な気分で満ち足りた生活を送れる事ができるのだから、それも一つの大きな願望として持っていいと思う。

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Copyright (C) 2007 明窓出版, All rights reserved













 
         葉山 修一 著





 ファンシフルガール





                                   明窓出版



















   推薦の言葉
●●●●●●●●●●

































  まえがき

●●●●●まえがきなし●●●●●

























       目 次




●●●●●目次なし●●●●●






























 
 私は夢を追い求めるファンシーな女の子。
 一般のサラリーマンや普通のOLのしているお堅い仕事は辞めてしまって、出版社の契約社員として気ままに編集者兼イラストレーターの仕事をしている。仕事は面白いし充実している。
 けれども何か物足りないような、何かが欠けているような歯がゆい気分にさいなまれている。それは会社がどうとか、人間関係がどうとかという問題ではなくて、私自身の内面的な問題なのだ。イラストレーターとして、成功すればそれはそれでいいと思う。自分の実力が認められて、お金をいっぱい稼ぎ、有名になれればそれは結構な事だ。優雅な気分で満ち足りた生活を送れる事ができるのだから、それも一つの大きな願望として持っていいと思う。
 しかし、私の夢はそれとは別のもの。自分一人の力では到達でき得ない大きなものであって、今現在手に入れる事はむずかしいもの。時折私はこの夢を追いかけて行って、果たして幸せになれるのだろうかという不安感に襲われている。神様は私のように自由気ままに生きている女性に対しては、救いの手を差し伸べてくれないのではないか。生涯独身で過ごさせるのではないかという気がしている。はっきり言って恋人がほしい。
 けれども、私の身の回りにいる男性は、誰もが現実的で平凡で、それが普通なのかもしれないけれど、でも私を理解してくれる人、ロマンチックな夢を語り合える人が一人くらいいてもいいのではないか。そういう男性を私は待ち望んでいる。


 私は中世ヨーロッパの綺麗なお城に住まう高貴なお姫様。宮殿の中で、優雅で何不自由のない生活を送っている。しかし、王宮の中の人は誰一人として私を愛してはくれない。私と愛を語り合える人が見つからない。毎日が贅沢三昧。あらゆる御馳走を食べ、あらゆる物を手に入れ、どんな国にも行く事ができる。でももうそんな事はどうでもいいの。
 私は夜が更けると、お城の外に出て、毎日かかさずにお祈りをするの。
「すてきな王子様が早く現われますように。ペガサスさんお願い、望みをかなえて。王子様を見つけて連れて来て!」と。
 やがて、祈りが天の神様に届いて、私は王子様とめでたく結ばれて、王子様の住む王国へと旅立って行くの。そこには数千種類の草花が咲き乱れていて、野生の動物達もたくさん生息している。誰もが動植物達と一緒に、楽しく語ったり遊んだりして。私達はもちろん、二人で幸せな家庭を築いていくの。あとはもう何もいらないわ。
 だってその王国にはお金も地位も名誉もなく、争いや戦いが全くなく、愛と平和に満ちた世界なのだから‥‥‥。








  第1章 出版社編 



  
 ここは神田神保町一丁目の一角。
 この辺り一帯は、集英社を始めとする大手出版社や印刷会社、各書店がところ狭しと立ち並んでいる。公園や緑がほとんどなく、ビル群や高速道路網に囲まれていて、まったくコンクリート・ジャングルという名にふさわしい。

 午前十時。出社時刻になると、今日もあわただしい一日が幕を開ける。
「ユウコ、ちょっと不忍池に行って、カルガモを撮って来てくれないか」
 まだ三十代半ばの編集長の小池さんが声をかけてきた。
「私、写真撮るの得意じゃないんですけどぉ」
「ただ写ってればいいよ。雑誌のコラムにカモの習性の記事を入れるだけだから」
「そうですか」
 ユウコはちょっと困った顔をして言った。撮影の仕事は苦手だったからだ。
「カメラマン今日は休みだから、今日の仕事写真撮るだけでいいから頼むよ」
「そうですか、じゃあ仕方ないですね」
 小池さんは中肉中背でどこにでもいるおじさんという感じの人だが、編集者としてのキャリアは長く、センスも抜群なので、仕方なく言う事にはすべて従ってやっている。
「ところで編集長、今度出す本ってどういったものなんでしょうか」
「今回の企画は、マザーグースの世界を再現した絵本にしてみようと思っているんだ」
「絵本を作るんですか?」
「君、その手のイラスト描くのは得意だろう」
 小池さんは少々嫌味っぽく言った。
「それほどでもないですけど」
「マザーグースの世界、メルヘンチックだし、今の子供達に夢と希望をかなえさせてあげられると思うんだ」
「そうですね。企画はいいと思います。イギリスを代表する童謡、絵本ですし、復刻本に近い物であればかなり売れるのではないですか」
「今回の本の挿絵は君にすべて任せるから、頼むよ!」
「私が全部描くのですか?」
「そうだよ。いいだろう」
「ええ、ありがとうございます」
 ユウコは少々気の抜けた返事をした。あまり気が進まなかったからだ。それは自分の描いたイラストに小池さんがクレームをつけるからだ。子供向けの本としてその作風に合ったものにしなくてはならず、自分の好みのタッチを使うと没にされてしまう。その事でよく編集長と口論になる事もあった。
〈でもいいわ、そのうち自分の描いたイラスト売りまくってやるから〉
 ユウコは自分の絵にはある程度自信を持っていた。それなりに評判はいいし、東京都の絵画展で入賞した事もあるからだ。
「編集長、そういえば確か今、お茶の水の丸善の前でオズボーン・コレクションの展示やってますよねぇ」
「オズボーンといえば、世界の名作絵本を選りすぐったもので、かなり評価の高いものだ」
「クレインやカルデコットの名作も入ってますよね」
「確かそうだったかな」
「その絵本買って来ていいでしょうか。今回の企画にはとても役に立つと思うんです」
「買う必要はないよ。参考にするのであれば同業者から一時借りれば済む事だ」
 どうもこのへんが小池さんとは合わない。よい作品を作ろうと思ったら、原本を買って来てじっくり読んで研究しなければならないはずなのに。絵だけちょっと見ただけでは分からないではないか。
「うちは小さな出版社だから、なるべく経費を節約しないとやっていけないんだよ。無駄な出費は押さえないと」
 小池さんは見透かしたように言った。
「分かりました編集長。ではそれ借りて来て下さい」
 確かに小池さんの言う事にも一理はある。大手出版社の場合は取次を経由して全国的に部数を大量に出版しているが、小出版社の場合は、返品されたり売れ残る事を恐れて、実用的で確実に売れる本に限定し、少部数出版する事が多い。何せ本を製作するにはお金がかなりかかるのだから。
〈オズボーン・コレクションよりレズビアン・コレクションでもやればいいのよ。その方が小池さんにお似合いよ〉
「ユウコ、今何か言った?」
「いえ別に」
「今度の企画は、あくまでもメルヘンチックなものだから、そのように頼むよユウコ」
「分かりました編集長。それではこれから私、不忍池に行ってカモを撮って来ます」
「ついでに上野の動物園に寄って来ていいから、動物の仕種や行動をよく観察して来なさい」
「はい、そうします」

 ユウコは一眼レフのカメラと三脚とスケッチブックを持って、さっそく上野公園へと向かう事にした。

         

                  ☆  

 上野、浅草というと東京の下町として有名で、風情があり情緒に満ちた家屋や伝統的な小間物のお店が多く、親しみやすい所だが、でも最近は洋風の建物もかなり増えて来ていて、和洋折衷的な趣きになりつつある。外国人にとっても上野公園は憩いの場として最適らしく、一時期JRの不忍口付近は外国人の溜り場になってしまって、日本的風情にちょっと欠けてきている感じで、ユウコにはそれが少しばかり残念であった。

 今日はお天気もまずまず。不忍池に到着するとユウコは、まずボート乗り場付近に行って、集団で池の中を黙々と進んでいるカモに向かってエサをまいた。エサはパン粉だ。カモ達は水草や貝類を好物とするらしいが、経費を節約するためなので仕方がない。カモ達はエサのまかれた付近に徐々に集まって来て、やがて水面上はカルガモやコガモなどでいっぱいになった。ユウコはすぐに写真を撮る準備をした。三脚を立て、カメラをセットし焦点を合わせて、シャッターを切り始めた。
 その時、彼女はふと思った。
〈池に群がるカモ達は一体何を考えて生きているのであろうか〉と
 カモが水面上を悠々と泳ぎ回り、空を自由自在に飛び回っている。そこには人間にとってうらやましいくらいの自由奔放な世界と、自然の厳しさに打ち勝って必死に生きている世界が重なり合って、壮大なドラマが展開されている様な気がユウコにはした。
 冬になるとシベリア大陸からはるばるとやって来て、東北や関東の平野部や高原、湖沼、池に一時的に住みつき、繁殖活動もする。何やら仲間達とコミュニケーションを交わして、近況報告などをして、おそらく 「日本の池の水って何て汚れているんでしょう。空気もうまくないわ。何とかならないのかしら?」などと言って、まもなく数百から数千キロ離れた北国へと旅立って行くのだろう。あの小さな体のどこにそんな力があるのかと思うくらいだ。体に矢が突き刺さったくらいでは決っして息絶える事のない、その生命力の強さには驚かされる。たぶん自然の厳しさに対して相当な適応力があり、並外れた忍耐力を持っているからであろう。
 ユウコは集まって来たコガモに焦点を合わせて、休む事なく次々と連写していった。
〈これはとっても絵になる風景だわ。私も大自然の中で自由奔放な生活をしてみたいわ〉
 フィルムがもう終わりに近付いてきたので、ちょっと一休みする事にした。
〈写真はだいたい写し終えたから、今度は池をバックにした彼らの姿をスケッチしましょう〉
 それから人気のない静かな場所へと移動した。カルガモの夫婦か親子が、仲良く並んで寄り添って泳いでいる姿を見つけた。
 日頃編集のような忙しくてハードな仕事をしていると、このような場所でのんびり過ごす事はめったにないが、時折立ち寄ってこういう風景を目にする事は、やすらぎと潤いを与えてくれる。一人でのんびりと過ごしたり、彼氏と二人で立ち寄るにはいい所だ。
 ユウコはカルガモを丹念にゆっくりとスケッチしていった。
「うまく描けたわ。それじゃ元気で、寒さ厳しさに負けずに精一杯生きていくのよ」
 仕事なのであまりゆっくりもしていられないので、ユウコはカモ達に別れを告げる事にした。
〈さて、次はどこに行こうかしら〉
しばらく考えてから、
〈動物園に行って檻の中の野生味のない動物を見ても仕方ないから、御茶ノ水に行って参考になる絵本でも見ておきましょう〉
                  ☆

 不忍通りを上野の方へ向かって進み、湯島から地下鉄千代田線に乗り、新御茶ノ水へと向かった。千代田線のホームは地下三階で、地上までの距離はかなりあり、この駅のエスカレーターはとても長い。
 待ちくたびれた頃ようやく到着し、そこから更に階段を上がって駅を出た。ちょうど出て左側が丸善で、その前にはかなりの人が集まっている。
 人混みを割って入ってゆくと『復刻世界の絵本館、オズボーン・コレクション』と書かれた看板が掛けられ、ワゴンの上に三十点近い絵本が並べられている

 あ、ゴメンナサイ。立ち読み部分はここで終わりなんです。ここまで読んで下さって有りがとうございます。
 このあともっと面白くなりますから買っていただけるとすごく嬉しいです。 


















 あとがき

 ●●●●●あとがきなし●●●●●
























 著者プロフィール

●●●●●著者プロフィールの中身●●●●●





















本の誕生秘話

 ●●●●●本の誕生秘話の中身●●●●●























関連書籍の紹介

 ●●●●●関連書籍の紹介の中身●●●●●























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