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町の小さなピアノ教室から幅広い年齢層、様々なジャンルの素晴らしいピアニストが 次々に誕生しています。
楽譜が読めなくても美しく名曲が弾ける秘訣とは
   半年で『エリーゼの為に』
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    全く初めての方、 
    弾きたい曲で練習したい方、
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    あなたに合わせてご指導いたします。
    杉野ピアノ教室  

目次 本文70% あとがき

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         杉野照子 著





 ピアノレッスン





                                   明窓出版



















   推薦の言葉
●●●●●推薦の言葉の中身●●●●●

































  まえがき

●●●●●まえがきの中身●●●●●

























       目 次




 第1章 職人ピアノ教師を目指して …… 5
 第2章 ピアノ教室開設準備 …… 21
 第3章 レッスン光景 …… 37
 第4章 発表会 …… 83
 第5章 ゴールドコーストの幼稚園でのピアノレッスン …… 99
 あとがき …… 123

























第1章 職人ピアノ教師を目指して


  刷り上ったチラシが届いた。
  B5版で二千枚。半分に切って、四千枚。
  宣伝としては大した量ではないが、これが近所の人の目に止まり、心が動き、そして電話がなり、私の仕事が始まり、ブームが起きるかもしれない。
  私の胸は踊った。
 
  楽しいピアノ教室
   半年で『エリーゼの為に』
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    3歳から始めたい、六十の手習い、
    あなたに合わせてご指導いたします。
    杉野ピアノ教室  電話(○○○○)○○○○
 
 
  茅場町の印刷会社は、小さな新聞広告でみつけた。
  破格の安さが目に止まり、問い合わせたところ、しっかりした職人仕事が伝わる応対に、すっかり信頼を置いたものの、わが身を振りかえると、これからこのピアノ教室で社会生活をしているといえるようになるのかと不安がよぎり、心は多少曇った。
  とはいえ、私にできないことは私には関係ない。私は私に出来ることをする外ない。
  でももしかしたら、それは私にしか出来ないことで、しかも多くの人々が求めていることかもしれない。 
 
  私の子供時代は、何よりもピアノレッスンを優先させていたこともあり、私は一曲の音楽に心が震えるほどの感動も知っているし、こつこつ練習を積み重ねていくつかの技も身に付けた。しかし、両親は教育熱心だったが音楽の世界に明るくなかったこともあり、人に勧められるままに先生を代えていった結果として、努力のわりには、まとまった音楽性は育たなかった。
  達成感のないまま、焦燥感に駆りたてられて相当な時間をレッスンに割く毎日を送っていた。
  確かに失うものは多かったし、奈落の底に突き落とされるような先生の言葉にまみれて子供時代を過ごしたことになるけれども、退屈ではなかった。
  それに、何を根拠に涌き出るんだか分からないが、どこからともなく自信が沸いて、私は素晴らしい音楽家だ、といつも思っていた。
  それは多分、両親と祖母が手放しで誉め続けてくれていたところからついてしまった自信なのだろうけれども、桐朋音大教授の先生に徹底的に音楽性全てを否定されても、芸大教授の先生にピアノ以外の楽器への変更を勧められても、どうも暗い気分にはなれなかった。
  「まあ、そういう意見もあるだろうし、まともに考えればもっともだけれども、私にはピアノでできることがある」
  天から光に照らされるように、未来を考えると、なんとも明るい気分になってしまっていた。
 
  私の父は国家公務員で、私は幼年期を官舎で過ごした。
  昭和三〇年代の官舎は、六畳、四畳半、お風呂に台所、縁側、庭の二軒長屋が、一区画に十棟ほどかたまっていた。
  食事は卓袱台、ひと部屋に家族が布団を敷いて寝るという生活の中でも、ほとんどの家にはピアノがあった。 
  官舎中の女の子が、近所に一人いるピアノの先生のところへ週一回、三、四歳から通うのだが、バイエルで誰が進んでいる、だとか、発表会では誰が順番が後だとかいう話題が、共同広場の掃除や集会での話題になっていた。その一方、発表会用の恐ろしく派手なドレスに合わせた靴のお下がりが回されたりもした。
  ピアノを習うことは、私の環境では選択の必要もない、常識的なことだった。母もおば達もしていたことだし、近所の女の子達も姉もいとこ達も習っていた。教養とか情操教育とか適性とかは誰も考えずに、年齢が達すれば始めるというものだった。
  私がピアノを始めたのは三歳だった。
  二歳違いの姉が四歳で始めたのを、横で見ているそばから真似て、全く同じように弾くのを見た両親が、
  「この子は天才じゃないか」
  と喜んで、一歳早く三歳から始めた。
  先生は怖かった。座り方から直された。指の形、指使い、もちろん音、それに長さ、弾き始める前から厳しく細かく注意され、やっと音を出すと、止められて直された。涙涙のレッスンが続いたような気がする。
  「泣いたってしょうがないのよ。悪いのは自分なんだから」
  「さっき言ったでしょ」
  同じところを二度間違えると、大きく濃くマークをつけられた。楽譜はみるみる汚くなった。悲しくなった気がする。
  家に帰ると母に言われて練習するけれども、これまたよく分からないまま、怒られた。
  「ちゃんとおさらいしておかないと、また先生の所で怒られるのよ」
  「……」
  「じゃあ、もうやめるの」
  そう言われて、
  「やめてやる」
  とはとても言えず、毎日が過ぎていった。
 
  でも、楽しいこともあった。
  右手と左手のメロディーの重なりにうっとりした。
  同じ曲を、モーツァルトが宮廷で演奏したと思うと、嬉しくなった。
  この曲を作るのに、ベートーヴェンが苦しみぬいて、完成に興奮したかと思うと、感動が体を包んだ。
  四畳半の畳敷きのこの部屋に響く音楽と同じ曲が、世界中の素敵なおうちからも流れているかもしれないと思うと、気軽にハイソサエティーの仲間入りが出来ているような気がした。 手におえないと思える難解な曲でも、片手ずつ、ゆっくり練習していくうちに、望み通りのメロディーを生み出すことが出来たときには、自分がきちんとしたおりこうさんのような気がした。 
  ピアノの良さは、ここにあると思う。
  手軽で高級、あまりに乱暴な表現に反感をかいそうだけれども、私の中でのピアノの価値は、この二つの言葉で表現される。
  高級と高価とは違う。高価なものに触れることが出来る人は限られているが、高級な音楽を自分の努力で生み出すことは、ある程度ピアノを練習すれば、さほど難しいことではない。
 
  

 あ、ゴメンナサイ。立ち読み部分はここで終わりなんです。ここまで読んで下さって有りがとうございます。
 このあともっと面白くなりますから買っていただけるとすごく嬉しいです。 



















 あとがき

   私は日本を離れる直前の誕生日を、夫の実家で過ごした。
  未知の土地に向かう不安と全てを失ったような喪失感、そして期待と希望と興奮とで尋常でない時期で、誕生日などということが些細なことに感じられていた。
  とはいえ、子供達がケーキを作って、義父母も一緒に祝ってくれた。
  ケーキを食べ終わる頃に、いつもは物静かな義父が大きな声で話し始めた。
  「このじいさんが五歳の頃、東京の洗足に住んでいたんだが、近所に住む八歳の聡君とその弟で六歳の正志君にいつも野球をしこまれていたんだ。それで、その時必ずいやというほど、当時聡君と正志君が通っていた慶応義塾の応援歌『若き血』を叩き込まれたんだ。意味も分からず、何度も歌って覚えた歌なんで、今正確に歌えるかどうか、ちょっと不確かだけれども、歌います」 後略

 
  
 
 
 
























 著者プロフィール

杉野 照子(すぎの てるこ)

東京都出身。ピアノ教師。現在、ゴールドコースト在住。






















本の誕生秘話

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  私もピアノ教師をしていまして、杉野先生とほぼ同じような考えをもっています。きびしいレッスンをうけ音大に入ってからもテスト・テストで好きな曲はなかなか弾かせてもらえませんでした。そんな状態で卒業し結婚し子供も高校生になり、レッスンを始めました。色々な話を杉野先生としてみたいのですが、ゴールドコースト在住とのこと、それまでのいきさつなどおはなししていただけたらと思います。   (神戸市 Y)