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二十六歳の時に書き始め、二十八歳に書き終えたというこの著作は、一読しただけではとても信じられるものではない。
「青年時代の生き方」、「人生の選択」、「本当の幸せ」など啓蒙的な匂いのする項目を見ても、青年期、あるいは壮年期にさしかかったばかりの人間が語れる内容とはとても思えない。しかし、若くして文学、哲学、経済、心理学、歴史学等々に親しみこれを血肉化した著者は、広く深い知識を駆使して現代の若者のあり方を鋭く分析し、若者たちはこれからどう生きるべきかの道を示し導こうとする。それは大家のようにではなく、まるで兄が弟に送るエールの如く、あるいは肉親への信頼から発する如く、自分よりも少しばかり若い世代への言葉の贈り物のようにさえ感じられる。
レビュー作家佐藤公則

前書き 目次 本文70%

あとがき 感想BBS 著者profile 関連書籍













手賀達哉 著





人間とは何か





明窓出版



















推薦の言葉
●●●●●推薦の言葉の中身●●●●●

































はじめに


ゾウはなぜ強いのだろうか。やっとエサにありついた、お腹を空かせた猛獣でさえ、ゾウの咆哮を耳にすれば食事の最中であろうと、貴重な死肉を捨ててまで一目散に逃げ出す。食うか食われるかの弱肉強食の野生で生き延びる術を本能的に身に付けている動物は、自らの爪と牙が十分に通用する相手と、いかにもがいても全く歯がたたない強者を見極める確かな目を持っている。これは野生の世界の宿命なのである。サバンナに生きる動物には全くと言っていいほどに自由はない。そして自由に生きる道がないということは主体性もないということである。群の掟に従って、主体性を帯びた行動を慎む。強い相手と見てとったら絶対に逃げるのである。
























目次





目次

はじめに 3

第一章身近な疑問
恵まれた生活 15
贅沢について 15学生の場合 17自由と主体性 18
性格 20
性格は強制されたもの 20性格と素質の相違 22
金銭 24
金は人間を狂わせる 24知識としての道徳は無意味 26
人生論 @ 28
なぜ人生論を読むのか 28人生論は教養ではない 29
人生論 A 31
理解する努力 31青年は人生論を読むべきか 31
騙されやすい人間 35
性格は関係ない 35欲求不満 36
青年時代の生き方 38
我道を見い出す 38無気力な現代青年 40
人生の選択 42
よくある人生選択例 42時間はいくらかけても構わない 44
哲学 45
哲学者の言葉 45実感として理解できるか 47
急いては事を仕損ずる 49
突発的状況 49時間は十分にある状況 50人は結果を急ぎすぎる 52
本当の幸せ @ 53
裕福な人は幸せか 53最大の不幸は孤独 55
本当の幸せ A 57
利己主義 57上昇志向は不幸の始まり 58

第二章歴史の意義
利己主義と歴史 @ 62
利己心は動物の本能 62歴史の始まりと利己主義 63
利己主義と歴史 A 66
権力は王族に集中 66封建制社会の出現 67利己主義は集中から拡散へ 68
利己主義と歴史 B 70
支配者の利己主義拡張の限界 70民衆の地位の向上 71
資本主義のはてに @ 72
世界は一つになる 72資本主義とは 74労働者の地位向上 75
個人の素質が全体主義を壊す 76
資本主義のはてに A 77
資本主義の基盤は脆弱 77能力競争は長く続かない 78
資本主義のはてに B 80
消費文化の虚構 80需要が供給を先導する 81
資本主義のはてに C 83
能力競争は踏み台 83経済も利他主義へ 84資本よりも才能 86
利己的社会から利他的社会へ 88
資本主義のはてに D 90
国家の介入 90能力競争の誤解 92能力競争の限界 94
個性と素質が活かせる社会 95利他心を発揮できる社会 97
人間社会とは何か 98
善と悪の相違 99人間社会を動かす本能 101

第三章人格を創るヒント
二十代 105
人波にもまれる 105時間がもったいない 107
友人 108
親友は何人いるか 108親友はいくらでもいる 110
スポーツの効用 @ 112
覇気のない人間はいない 112スポーツは覇気を鍛える 114
スポーツの効用 A 115
対人態度を決定するもの 115気迫が人生を左右する 117
気の弱さ @ 120
人間を突き動かすのは本能 120気の弱さは理性の産物 121
気の弱さ A 123
気の弱さと優しさは別 123気の正体 125
自我 127
乳幼児期は両親が世界 127幼児は両親の人生態度を学ぶ 129
二十代は苦闘の年代 130
思いの力 133
まず自らに問う 133見えざる手に導かれる 135我欲は二の次 136
男の才能 137
男は創造の天才 137男の才能が生んだ科学 139
女の才能 141
女性は範を求める 141科学技術の行く末を見守る 143

第四章現代社会の悩み
過保護文化の終焉 146
過保護な現代日本の環境 146個人主義は過保護の産物 148
労働の意味 150
労働の意味の喪失 150国家発展のための労働 151
真の文化人の目覚め 153
豊かさの意味 153不必要な贅沢は無用 156
走り続ける悩み 157
走ることを求められる 157なぜ走るのか 158
資本主義は崩壊する 161
資本主義の役割は終わった 161循環型社会 163
自ら考える力を失った人々 166
自主独立の日本人 166皆一緒は最低の精神 167考える力を失った日本人 169
平等な社会 170
皆一緒は日本人に馴染まない 170平等主義に見る安定心理 172
平等社会の本質 @ 174
抑圧された社会 174最悪の競争社会 175
平等社会の本質 A 178
経済発展のシステム 178日本人の楽しみ 181
第五章人間へのアプローチ
日本人の気質 183
反骨精神こそ日本人の気質 183民衆の底力 185江戸っ子と上方民衆 187
鎖国政策に見る自主独立 190不況こそ契機 191
時間 192
苦難の体験が知恵を磨く 192後悔こそ最大の悩み 194
野心家 196
野心家と詐欺師は同類 196野心家は天職を選べない 198
野心家は失敗する 199祖父の為すべきこと 201
人の心 202
外界は心の内の反映 202外向と内向 203
人付き合い 206
自己防衛意識 206心の平穏を過剰に求める 208三つのキーワード 209
財産と孤独 211
物欲と孤独 211資産とは身分 213著しい内向性 215
孤独 216
孤独を求める 217逡巡するエネルギー 219
慢心 220
すぐ有頂天になるのは愚か 220慢心で人徳を失う 222
上徳の人 224
優越感も劣等感もない 224床屋のおばあちゃん 227
品格 228
贅沢に溺れる 228富貴に耐える精神 231
素朴 233
自然はシンプル 233人間も自然の一部 234
人間の成長第一段階 236
原始の人間は自然を恐れた 236恐怖心が第一歩 238
人間の成長第二段階 239
宗教そして哲学 239宗教と哲学の違い 242
人間の成長第三段階 243
哲学は自然の本質に迫る 243科学の誕生 244
人間の成長第四段階 247
努力家だが利己的な現代人 247自然の意志を学ぶ 248
人間の成長第五段階 250
自然と調和した生活 251人間はどこへ行くのか 253
個の時代 256
昔は共同社会 256歯車社会 258
価値観の崩壊 260
身分という価値観 260存在を肯定する価値観 262
価値観の模索 264
環境の整備が急務 264生きがいの社会 266
自己顕示欲 268
志は自己顕示欲の表現 268自己顕示欲は満たされにくい 270
人間の弱さ 272
悩みが知恵を授ける 272苦悩は強靱な精神への契機 273
二つの心 275
神と悪魔の心 275閉鎖的な社会 277
心のあり方 279
前向きの精神が協調を生む 279気後れ社会 281
プライド 282
日本にはプライドがあった 283夢中になれる何かを持つ 285
プライドを見失った日本人 286
国家のプライド 289
プライドこそ国の要 289自主独立の気概 292
人間の価値 @ 293
人間についての苦悩 293芸術作品の意味 295
人間の価値 A 297
人間性を高める 297富裕は目的ではない 298
文化の創造 300
心のゆとりが文化を育む 300ゆとりのない現代社会 302
現代人の気質 304
文化的精神の貧困 304意志の放棄 305
いびつな社会 307
統制された自由社会 307プライドとモラル 309
頭のいい人、悪い人 311
感じることが重要 311直観が働くか否か 313
直観の条件 314
物を考える習慣 314感性と素直さ 316
不安 @ 318
自己顕示欲と時の流れ 318優劣の比較 320
不安 A 321
成功の連続への不安 321人間関係への不安 323幸福への不安 324
永続性を信じられない心理 325
人間とは何か 326

おわりに 332


























第一章身近な疑問






◎恵まれた生活

贅沢について
あの人は贅沢だと常々言われている人がいたとする。実際どうして、その人は贅沢なのかとよく見てみると、まず学生である、試験はテスト前に友人から講義ノートを借りて参照すれば、ギリギリ通ることができる。また、親から仕送りを受けており、特にアルバイトをしなくても生活に困窮することはない。通学には親にせがんで買ってもらった新車を、まるで自分で働いて稼いだ金で購入したかのような顔をして使っている。もちろん彼女とのドライブには欠かせない。大学生活の四年間は、生活苦に喘ぐ必要なく、自由にあり余るほど使える時間のなかで、大好きな彼女と趣味の車を堪能しながら、まさに天国のような青春時代を謳歌できるというわけである。
なるほど。確かに羨ましい限りである。誰しも、もし学生時代に戻れるのならば、この様な生活をしてみたいと思うだろう。私もそう思う。あえて克己苦学して真摯な学生生活を送ろうと思う者は、よほどの変わり者か偉人だけだろう。社会に出る前に贅沢を堪能したいと思うのは当然のことである。しかし、ここで改めて贅沢とは何かということを考えてみると、意外と答えに詰まる人が多いのではないだろうか。
親からの仕送りを受けて、アルバイトをして、授業は適当にさぼる。大学生活の四年間もしくはそれ以上の期間を、縛られることなく自由に過ごす。それを、人は贅沢な暮らしだと言う。皆が羨ましく思う生活ではあるが、はたして、このような生活を贅沢であると言って差し支えないものであろうか。
別に、世間一般で言われる贅沢な人の例を考えてみたい。世の中には、普通のサラリーマンが一生かけても稼ぎきれない大金を、わずか一年間で稼いでしまう者がいる。ごく一部の経営者や優れた成績を修めたプロスポーツ選手である。才能豊かな芸能人もいるであろうし、作家や芸術家もいるであろう。彼らは、社会的に高い立場に立ち一般のサラリーマンが羨む巨額の収入を得ている。先の学生などよりも、よほど贅沢な生活を送れる人々である。
さらにもう一つ例を挙げるならば、かつての封建時代や絶対王政の時代の国王や貴族がいる。多くの貧しい農民が細々と生計を立てて暮らしていた時代に、彼らは莫大な富を所有し、贅沢な生活を堪能していた。奢侈に流された生活を送り、農民は黙って貴族の生活を支え働き続けた。貴族は、領主として君臨し農民の生活全般を支配した。
さて、以上の例に見る通り、贅沢な生活にも色々な相違がある。学生の生活、社会的に高い地位につき仕事をする人々、また、かつての時代の国王や貴族など、まさに様々である。あえて似ている点を探るならば、例で挙げた中で、学生以外の人々は富や名声などを得ているということであろうか。富や名声は贅沢な生活と関連があるのであろうか。

学生の場合
贅沢について考える前に、学生の場合を取り挙げて考えてみたい。贅沢とは必ずしも言い難い面があるからである。例えば、生活を考えてみると、まず学生の本分である試験は、さして辛いものではない。学生にとって試験問題というのは、普段の講義内容を友人のノートを参照するなどしてある程度把握しておけば、解答するのはさして困難なことではないからである。社会人の立場で言えば、自分の携わっている業務の内容を理解し、比較的仕事を熟練した立場でこなすことができる人と似たような立場であると言えるのではないだろうか。また、親からの仕送りによって苦汁を舐めるような生活をしなくても済むというのは、社会人で言えば、けっして高い収入を得ているわけではないが困窮することはないという立場である。さらに、学生には愛すべき女性がいる。大切な人がいる。これは、すばらしいことである。学生は、非常に恵まれた生活を送っているのである。
しかし、ここで少し考えてみたい。ここで述べる学生。きっと皆に贅沢で羨ましいと思われるはずの学生の生活は、そのベースとなる社会的な生活条件を社会人の場合に当てはめて考えてみると、はっきり言ってたいしたことはない。あまりにもと言うくらい平凡な日常であり立場である。大企業の部長でなければならないとか、年収一千万以上でなければ駄目であるとか、そんなことはまったくないのである。もちろん、社会人の仕事においては、それ相応の責任がつきまとうということと、仕事に熟達するためには、相当の努力が必要であるという点では学生の場合と一緒という訳にはいかない。何よりも精神的強さが求められるはずである。
学生の生活環境を、社会人の立場と比較して考えてみると、世間一般で言うところの贅沢とは全く無縁であることが分かる。それどころか、親からの仕送りとアルバイトで生活しているのであるから、貧乏でさえあるかもしれない。しかし、それにもかかわらず皆は、学生の生活を羨ましいと思うのである。

自由と主体性
先の例で挙げた学生、社会的地位の高い人、国王や貴族などの権力者。どの立場の人間になりたいかと問われたら、学生と答える者が多いであろう。もちろん、社会的名声や富には抗いがたい魅力がある。しかし、それ以上に学生という立場には、多くの人々を引き付けて止まない何かがあるのである。
学生生活を最も魅力あるものにしている要素。それは自由と主体性である。人々は、学生生活を通して自由な環境と主体的な精神に憧れるのである。これは、人間にとって何者にも代えがたいものである。名声や富を約束する社会的な地位などとは比べものにならないのである。ほとんどの人は、ある程度余裕のある暮らしが送れれば、それで十分満足する。必要以上に贅沢な環境などは、追い求めないものである。むしろ、日常生活が、がんじがらめにされ不自由な毎日を余儀なくされている者ほど、病的に贅沢な生活に駆り立てられるのかもしれない。
葛飾の柴又で有名なフーテンの寅さんも、なぜ、これほどまでに日本全国民の心をいつまでも魅了し感動を与え続けることができるのかと言えば、それは、寅さんが自由な環境で生き、主体的な意志で行動しているからである。寅さんは、突然ふらりと旅に出ながら、故郷の柴又が懐かしくなれば、また突然何の前ぶれもなく、とらやに帰ってくる。そして美しいマドンナに秘かに恋情を抱くが、結局はふられて、また、とらやの住人とも一悶着おこしてしまい、様々な思いを胸に秘め再び旅に出るのである。美しい女性に性懲りもなくひたむきに恋慕する純情さと、何をやっても不器用で失敗ばかりしている憎めない人柄が寅さんの人間像であるが、その魅力は、寅さんの生きる自由な環境と、自分の意志で好きな時にふらりと旅に出て、帰りたくなったら自由に柴又に戻ってくる主体的な行動によって大いに引き出されているのである。もし、寅さんに、日本全国を旅して回る自由と主体性がなく、様々な社会的束縛にがんじがらめにされている立場の人間であったら、どうであろう。けっしていつまでも日本全国民の心を捉えて離さない存在とはなり得なかったはずである。
人間が、本当に心の底から望んでいるのは、自由と主体性である。この二つを体現している人物を私達は贅沢だ、羨ましいと思うのである。いくら名声や富を得ても、自由と主体性を失えば、私達は必ずしもこのような立場の

あ、ゴメンナサイ。立ち読み部分はここで終わりなんです。ここまで読んで下さって有りがとうございます。
このあともっと面白くなりますから買っていただけるとすごく嬉しいです。


















おわりに

私が本を出版したいと思ったのは、学生時代のころである。大学三年生の二十一歳の時であった。別に絶対に自著を何としても書棚に並べて、多くの人々に自分の考えを知ってもらいたいと思った訳ではない。ただ何となく原稿を書き、とりあえず書物という体裁に整えてみたいと、本当に漠然と考えていただけである。実際に書き上げた原稿は、確か一ヶ月もかからず完成したものであったと思う。入念に誤字、説字をチエックすることもなかったので漢字の表記や使い方には間違いが多く、文章表現も拙く、お世辞にも人様に広く読んでいただくものとは、とても言い難いものであった。結局、私は、自分が二十一歳の時分に、当時の私なりに必死に書いた原稿を本として上梓することをあきらめた。自分で今、改めて読み返してみても、あまりにも稚拙で、どう手直ししても、とても出版に耐えられる内容ではなかったのである。後略
























著者プロフィール

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本の誕生秘話

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